2022/10/20

PCM1794A DAC の制作

手元にある一番性能のいい DAC が Onkyo SE-U55SX だったのですが、mac OS で使っているとプチプチ音が切れます。どうしようかなあと思ったのですが完成品より自作したいなあと思って調べていました。アンプの方がバランス接続できるので、できればバランス接続でと検索しながら調べていると DAC PCM179x 系がバランス接続の出力をつくるのが簡単そうでした。

さらに調べていくと PCM1794A をモノラルモードで使ってバランス接続の基板が売られていました。PCM1792か1795だとデジタルボリュームが使えるので、そちらがいいなと思って調べていたものの、基板設計しなくていいなら楽かなあと思って買ってみました。

今のところ下記を組み合わせています:

 
 光デジタル/同軸デジタル/USBの3入力をリモコンで切り替えるようにしています。リモコンを増やすのも嫌だったので、アンプの入力切り替え用のボタンを複数回押すと入力切り替えになるようにしています。性能の方はうまく測れていないのですが、SE-U55SX より聴感上は上になりました。

2022/10/19

Ncore NC122MP 入りのパワーアンプ (AUDIOPHONICS MPA-S125NC XLR) を買った

ちょっとパワーアンプが気になるようになり調べてみるとD級アンプの中でも Hypex の ncore は別格というのが出てきました。D級動作のアンプの中でも負帰還が強く、ダンピングファクターが高いというのです。気に入らなかったら売るつもりで、それでも安価なものをと探してみると NC122MP にたどり着きました。出力はラインナップの中では小さめですが、個人宅で使うには十分すぎます。NC122MP は Hypex 製のモジュールで、モジュール単体では正規には入手出来なそう(amazon, Aliexpress で売ってるけど Hypex が個人向けに出していないので新品の正規品かは怪しい) なので、それを使った製品を購入することになります。これもNC252MPの方ですがリストを作っている人(https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/hypex-ncore-nc252mp-market-overview.31085/)がいて、安価なのが Audiophonics というフランスのオーディオショップが自社ブランドで売っているものです。すでに個人輸入している人がいて日本へも発送してくれるということです。入力が RCA と XLR のものがあり、XLRの方 (AUDIOPHONICS MPA-S125NC XLR Stereo Class D Power Amplifier NCore 2x125W 4 Ohm)を購入しました。

MPA-S125NC XLR の内部

注意は UPS Express Saver を使うと送料が安かったのですが、国内に入ってから大都市圏だと平日昼間しか配達してくれないかも(UPSが直接配達)という点です。再配達で委託業者(クロネコヤマト)を使うように指定すればいいらしいのですが、方法を確認しておいた方がいいと思います。また受け取り時に日本の消費税(運送業者が代理で収めてくれる)を払う必要があります(フランス(EU)の消費税は免除されます)。円安が進んでいて9月に発注、10月に着(在庫がなかったので1ヶ月待った)で、送料消費税込み約6万円でした。

音質についてはパワーアンプ以外のファクターも大きいので書くのが難しいですが、DIATONE P-610MB を約 60L の推奨箱にいれたスピーカ、プリアンプがアキュフェーズの C-11、音源が PCM1794A 使用の DAC (無名の基板を入手) という組み合わせで DAC からパワーアンプまでバランス接続をしていての話です。この組み合わせでパワーアンプをアキュフェーズの P-11 から入れ替えて、音が大きく変わったようには思えませんでした。若干、NC122MP の方がいいかなぐらいでした。

電源ON/OFF時のポップノイズも気になるほど大きくありません。スピーカーリレーをいれる改造をしようかと思っていたのですが、改造は不要のようです。また蓋を開けてみましたが内部の配線もきれいでした。ただコイルとトランスの発熱が大きめなので、空気穴は塞がない方がよさそうですし、もしかすると穴を追加した方がいいかもしれません。Hypex のは4年ぐらいでコンデンサがだめになるというのを海外の掲示板で書いている人がいたのは、発熱でコンデンサが劣化するということなんかもと思いました。

 性能はこの辺をhttp://archimago.blogspot.com/2020/01/measurements-hypex-ncore-nc252mp.html?m=1


2022/10/11

パワーアンプの音、スピーカーの音とダンピングファクター

ずっと以前、Tripath TA2020-020 で D級アンプの自作が流行始めたころ、キットを買って作り、電子ボリューム PGA2311PA を買ってアンプを作りました。このころはS50年頃のプリメインアンプやTA2020が流行る前後のミニコンポを使っていたので、D級アンプのコストパフォーマンスのよさにびっくりしました。

その後フルデジタルアンプ(TAS5086 + TAS5142)の自作の機会があり、市販品も DENON DRA-F109 と KENWOOD R-K731 と安価なフルデジタルアンプ(チューナーも入ってるのでレシーバーとも)を買って使っていました。普段使いは、DRA-F109 にウッドコーンスピーカー(キット)SX-WD1KT でラジオやテレビの再生を、ちょっと大きな音で聴きたいときは自作のフルデジタルアンプとDIATONE P-610MB を推奨箱(60Lのバスレフ)につないだもので聴いていました。

今年になって実家で使ってたアンプが壊れたと連絡があり買い換えの時に処分されそうだったので引き取ってきました。アンプの方はやはり少しおかしかったのですが、別の機会に書こうかと思います。それと NS-10M に興味がわいてヤフオクで買いました。前置きが長くなりましたが、そのアンプとスピーカーを取っ替え引っ返したら音が違うので、びっくりして興味を持ったという話です。

アンプの方はアキュフェーズのコントロールアンプ C-11 + パワーアンプ P-11 です。スピーカーの方は上記に加えて FOSTEX のかんすぴの一番大きい P-1000-E + P-1000K です。かんすぴの方は音は気に入らないものの試しに何かにつなぐにはいいかなと思っていて置いていたものです。

DRA-F109 と自作フルデジタルアンプの音の傾向は似ていて、かんすぴとレストア前の NS-10M は気に入らない音でした。なんというかすっきりしない感じです。NS-10Mの方は男声のしゃべり声が鼻声に聞こえるようなとき(特定の周波数が悪かったのでしょう、特定の人の声)もありました。SX-WD1KT と P-610MB は、すっきりはしているものの大迫力の低音というわけではありませんでした。

それが C-11 + P-11 をつなぐと、かんすぴがちゃんと鳴るようになり、レストア前のNS-10Mもそれなりの音に聞こえます。SX-WD1KT はそれほど音は変わりませんでしたが悪くなることはなかったです。さらにびっくりしたのは P-610MB で、高い音の解像度が上がって、低音の迫力が増しました。

レストア後の NS-10M はフルデジタルアンプでも変な音はなくなり、解像度の高い音がするようになりました。低音の方はあまりでませんが。

で、なぜなんだということで見ていくとダンピングファクターのせいかなあというところにたどり着きました。フルデジタルアンプの方は方式上おそらくダンピングファクターは 10 〜 20 ぐらい(自作アンプの方で BTL なので IC 内部とコイル+αで 0.5Ωぐらいありそうだから8Ω/0.5Ω=16)。対する P-11 は 200 あります。こちら (https://souzouno-yakata.com/audio/2007/05/02/2315/) を読むとダンピングファクターは 40 あればよさそうということですが、ちょっと足りません。

レストア前の NS-10M の方はエッジが硬化してインピーダンスの周波数特性がボロボロだった可能性が高いのではと思っています。P-610MB の方はフルレンジスピーカーで分割振動しているらしく高音でインピーダンスが乱れるようです。また低音側もインピーダンスがぐっと上がっています(P-610 の特性の話はこちらにありました( ダイヤトーン P-610MBの実力と限界を見極める)。最後けなされているのではなくて、神格化/伝説化するのではなくて、特性を生かして聴きましょうということだと思います)。この辺りがダンピングファクターの低いフルデジタルアンプから P-11 に変えたら音が変わった理由なのではないかなと。

さらに興味があったので Ncore の NC122MP モジュールを使ったアンプ (AUDIOPHONICS MPA-S125NC) を買ってみて P-11 に変えて C-11 につないだのですが、各スピーカーに対して同じような音の印象です(NS-10Mはレストア後なので、レストア前の音は聞けず)。このアンプはアナログ入力の D級アンプですが、ダンピングファクターが 370 (ほぼ同じモジュールを使った TEAC AP-505 の値) と高いアンプです。

今回の経験がダンピングファクターの違いと言い切る自信はないですが経験談でした。

2022/10/10

Yamaha NS-10M 雑感

Yamaha の NS-10M を1ヶ月ほど前に手に入れました。当然中古なのですが色々な経験が出来て面白かったので雑感など。

入手したのはケーブルをつなぐ端子は入れ替えられているものの、内部のネットワークの回路はオリジナル、コーン紙やエッジもオリジナルのままのような印象でした。 コーン紙の黄ばみはサランネットをかけたまま使うなら気にしないで済みます。それと「紙」なので漂白のためとはいえ「水」はあまりよくないよなあと思っています。

さて、入手してすぐ鳴らしてみた感想は、なんか平板な音でした。それとアンプを変えると音が結構変わるというもの。アンプは3台で、2つはフルデジタルアンプです。1つは自作のフルデジタルアンプ (パワー段はTAS5142)で、1つは DENON の DRA-F109です。もう1つは Accuphase の C-11 + P-11 です。フルデジタルアンプの方だとあんまりいい音とは思わず、Accuphase だとまずまずという印象でした。

NS-10M を手に入れてから調べてみるとレストアを何台もされている方がいて( https://blog.goo.ne.jp/room210tant/e/90a6dd007b079b88c69e0ac9eb233980 )ネットワークのコンデンサは要交換、エッジの軟化もした方がいい、端子も交換、コーン紙の漂白は出来るけど好み、といった感じでした。こうなるとやってみたくなります。

まずはコンデンサ選びですがこちらも探すと高価なコンデンサを使っている人もいれば、安価なものもあります。結局、こちら(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10169307175)を見て、2.7μF×2 = 5.4μF は

ルビコンMPS メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサー 4.7μF250V
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-05982/
ルビコンMPS メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサー0.47μF250V
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-05980/

を並列にして約 5.2μF としました。

10μF は電解コンデンサをやめてフィルムコンデンサにすることにして、ルビコンMPS でなくてもいいかなと思って

Suntan TS04B メタライズドポリエステルフィルムコンデンサー 10μF250V
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-11713/

にしました。

交換前の様子はこんな感じで、ニチコン製のフィルムコンデンサですが外して容量を測ると容量が大きくなっていました。参考にしたページにありましたが、コンデンサを外すのは外皮をカッターナイフで切って外して、それから外皮を接着剤からはがすといいです。

コンデンサを入れ替えた結果はこんな感じです。一本外せばよかったのにそのままにした電線があります。熱容量の大きい半田ごてが必要です。端子と内部の配線が交換されていましたが熱容量不足で苦労した跡がありました。

聴いてみると音は良くなったもののアンプで音が変わるのは同じ、低音が出ないのが目だってきた感じでした。

エッジの方はちょっと調べてみるとブレーキフルードの補充液がよく使われているようで買ってみました。

三油化学 シグマ ブレーキフルード D4スーパー ブレーキフルード補充液 50cc
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B00AE0H79I/ 

これを塗料皿に取り、絵筆で外から薄く塗っておしまいです。50cc も全然要りません。1日たったあたりで柔らかくなり音が変わっています。いま二週間ぐらい経っていますが、これで元の音に戻ったのかなという感じです。どういうことかというと解像度が高いと言われている音に変わりました。ウーハーの高音側の音がそういう音を作っているからかも。あとテレビ(録画)を見ていて鼻声に聞こえる人がいたのですが、それも解消されました。フルデジタルアンプの方でも低音が Accuphase のアンプほど出ない以外は普通に聞こえるようになりました。

結局、機能面のレストアフルコースのようになりました。レストアまでして気に入らなかったら手放そうと思っていたのですが、テレビ等の普段使い用に使うことになりそうです。 

で思ったのですが、一般向けとしてベストセラーになったスピーカーがモニター用にも使われたということは一定の性能を持っていて、 NS-10M の音がいい悪いというのは、新品で買ったのでなければスピーカーのコンディションの良し悪し、新品で買った場合もアンプとの組み合わせで印象が変わってきそうに思いました。解像度が高いことと低音がそれほど(あまり?)出ないのは事実に思いますが、悪い音かというとそうではない、気に入らない人はいるかなあという感想です。

おまけ:

説明書    https://jp.yamaha.com/support/manuals/index.html?l=ja&c=&k=NS-10M

カタログ    https://jp.yamaha.com/files/ocp/ja_jp/products/audio-visual/special/hifi-history/speaker/ns-10m.pdf