Takazine さんの MUSES72323 Balance Volume 基板を使って電子ボリューム機能のみのプリアンプを製作しました。入力セレクタもないのでプリアンプとよばないと言われそうですが、DAC とパワーアンプの間に入れるのでプリアンプかなと思っています。DAC とパワーアンプを直結して普段聞く音量だと DAC 側のデジタルボリュームで -50 dB ぐらい下げる必要があります。ここまで下げるとプリアンプを入れた方が音がよくなります。プリアンプ代わりにパッシブボリューム(アッテネータ)も考えたのですが、いいボリュームは高くて入手が難しくなっているのと、ボリュームより劣化が少ないはずの抵抗2本をプリアンプ代わりに入れると音がかなり悪くなった(抵抗2本+オペアンプにすると音の劣化は解消されるのかもしれませんが試していません)ので、電子ボリュームを使ってみることにしました。DAC にバランス出力がありパワーアンプ (Ncore NC122MPの入った AUDIOPHONICS MPA-S125NC XLR) がバランス入力のみなので、バランスタイプ(MUSES72323を2個使用)の基板にしました。完成した写真(もう少し整理するつもり)です:
右上がバランスボリューム基板で、右下がマイコンボード 、左下が電源部、左上がポップノイズ対策のリレー基板です。ボリュームのツマミは昔のプリメインアンプから外したものです。
まず部品の入手ですが Takazine さんの部品表が3年前のものだったので秋月電子・千石通商で取り扱いがなくなっている部品がありました。C9, C10, C43 の UFGH100MDM はオーディオ用ではない通常品の 10uF 50V のコンデンサに変えました(回路的に音質に関係ないはずと判断)。C21〜C24 の 1608 の 10pF は秋月の取り扱いがなくなっていたので千石通商で購入しました。R11〜R14 の抵抗は REY の取り扱いが千石でなくなっていたので DALE の抵抗に変えました。オペアンプの NJM5534D も秋月電子や千石通商では入手できなくなっています。まだいくつかの昔からの電子部品の小売り店から通販で買えるようですが NJM5534DD がヤフオクでまずまずの値段で売っていたので最初はそれにしました。
入力のカップリングコンデンサは (C5〜C8ではなく) C1〜C4のPMLCAPとしました。
VR1〜VR4 ですが、DCオフセット調整が難しいのでつけないことにしました(あとで試したOPA1611やOPA828などではそもそも調整端子がない)。オペアンプの出力は -300 mV ぐらいになりますが、これはオペアンプのオフセット(オペアンプ部の増幅が 0dB のときは数mVのはず)ではなく、MUSES72323 の参考回路だと出るオフセットと思われ、オペアンプのオフセットのみを0にするのは難しいです。この回路全体のオフセットを0にオペアンプのオフセット調整機能で調整するのはダメと書かれています:
“オフセット調整端子は、各オペアンプが持つ固有の入力オフセット電圧をゼロに調整するための端子です。ただし、出力電圧を任意の電圧に調整するための端子ではないので、入力オフセット電圧をゼロにする目的以外に使用しないでください。” (https://www.nisshinbo-microdevices.co.jp/ja/faq/10006.html)
出力のオフセットはDCカットコンデンサ(オーディオ用の電解コンデンサにした)でカットしました。基板の裏でパターンカットしてオペアンプと出力の保護抵抗の間に入れました。 ここも PMLCAP が使えるとよかったかもしれません。
電源は秋月電子で取り扱いのある、豊澄のトランスHP-185 (18V-0-18V, 50mA) を秋月のAE-HPxxx基板に載せて、ユニバーサル基板上に整流回路と1000uFの電解コンデンサを載せたものを使いました。実測で負荷(ボリューム基板以外の回路も含む)が 60mA(正側の消費電流に相当), 30mA (負側の消費電流に相当) で 19V, 21V になるので、R15 は 180 Ω, R16 は 300 Ωにしました。
電源を切ると正負の消費電流が違うので電圧が非対称に下がっていくので出力にポップノイズが出ます。その対策として電源が切られると(コンデンサの電圧が一定以下になると)ラッチングリレーを動作させ出力をショートするようにしました。
リモコンを使いたかったので Arduino を使ってリモコンコードの受信をし、ボリューム基板につないだデジタルポテンショメータ(Microchip MCP4161)の抵抗値を変え、ボリューム基板のシリアル出力を OLED に表示するようにしました。電源電圧を監視しラッチングリレーも動作させています。OLED は 3.3V 動作、マイコンは 5V 動作です。直結で動く場合もあるのですが、ときどきスタックするので I2C レベルコンバータ(NXP PCA9306) を入れました。
完成して音を聞く前に 1kHz の正弦波を入れて PC で FFT 結果を見たのですが、オーディオインタフェース (MOTU M2) のループバックと区別がつかないぐらい高調波が少ないきれいなグラフでした。
音の方は DAC とパワーアンプ直結よりもよく、細かい音まで聞こえます。今まで使っていたプリアンプよりもよい感じです。オペアンプを NJM5534DD から、OPA1611 に変えるとロック・ポップスのドラムの音がはっきりするようになりました。ただ FM 放送を聞くと帯域が狭い感じがして気になりました。その後、気になっていた OPA828 に変えるとドラムの音がより正確になった感じ(OPA1611は勢いがあるけれど、ドラムの音の違いが分かりにくい)がして、FM放送も帯域が狭いような感じが消えました。オペアンプ交換はこれ以上せずに OPA828 で使うつもりです。好みと価格から NJM5534D/DD を選ぶのもありかなと思います。比較すると OPA1611 はちょっと癖があるような印象です。
追記
OPA828 で、ちょっとこもって聞こえる録音があるのに気づきました。うーむ。


0 件のコメント:
コメントを投稿