で、レンズやコンパクトデジカメを選ぶときに気にしているのが最短撮影距離です。どのレンズやカメラでも、遠い方はピントが合うので、最短撮影距離が短いほど撮影範囲が広がることになります。最短撮影距離が短いと、被写体に寄れるということになります。寄れるというのは大きく撮れるというだけではありません。
実感するために、試写してみました。カメラとレンズは、Ricoh Caplio R7 (28-200mm相当のレンズつき) とNikon D70 + Sigma 18-50 1:3.5-5.6 DC の2組を使っています。Sigma 18-50 1:3.5-5.6 DC は、25cm まで寄れる、比較的、最短撮影距離の短いレンズです。Ricoh のカメラも、レンズ先端から被写体の距離が 1cm になるまで寄れる(最短撮影距離は、レンズ先端から被写体までの距離+レンズ先端から撮像素子までの距離で定義されるので、1cm ではない)ことで知られています。
まず、それぞれの組み合わせで焦点距離を 28mm 相当にし、最も寄って撮った写真です:
Ricoh Caplio R7 31mm 相当最短撮影距離
Sigma 18-50 1:3.5-5.6 DC の 28mm 相当 (18mm) 最短撮影距離
画角が同じとき(35mm 換算時の焦点距離が同じとき)には、寄れるほど大きく写ることがわかります。被写体を変えて、Nikon のズームレンズの最短撮影距離でよくみられる約38cm と、高倍率ズームの最短撮影距離に多い約50cm でも撮影してみました。
Ricoh Caplio R7 31mm 相当最短撮影距離(レンズ先端から被写体まで約1cm)
Sigma 18-50 1:3.5-5.6 DC の 28mm 相当 (18mm) 最短撮影距離(25cm)
Sigma 18-50 1:3.5-5.6 DC の 28mm 相当 (18mm) 撮影距離 38cm
Sigma 18-50 1:3.5-5.6 DC の 28mm 相当 (18mm) 撮影距離 50cm
25cm, 38cm, 50cm で、数値上は、それほど差がないように思えても、実際には写る範囲が大きく変わることが分ります。一方で、被写体を大きくとらえるだけなら、ズームレンズの長焦点側(望遠側)を使う方法があります:
Sigma 18-50 1:3.5-5.6 DC の 75mm 相当 (50mm) 最短撮影距離(25cm)
同じ撮影距離でも、主たる被写体を大きくとらえることができると分ります。主たる被写体のみを考え、被写体までの撮影距離に問題がないなら、カタログの撮影倍率が高いズームレンズほど大きく写すことが出来ます。
一方で、被写体の大きさを同じに写すときに、レンズの焦点距離が違うとどうなるでしょうか。もちろん、レンズの焦点距離が短いほど被写体に寄る必要があり、撮影するときの距離が変わります。では撮影結果は:
Ricoh Caplio R7 31mm 相当
Ricoh Caplio R7 50mm 相当
Ricoh Caplio R7 105mm 相当
Ricoh Caplio R7 200mm 相当
厳密に同じ大きさに写ってはいませんが、背景の入り方が変化しているのが分ると思います。つまり、撮影倍率や最短撮影距離が同じでも、広角側で寄れるのか、望遠側で寄れるのかで、撮れる写真は変わってくるのです。なお、消しゴムの直線がゆがんでいるのは、画角が変わったためではなく、レンズの歪みが焦点距離によって異なるため(レンズによって変わる)です。
ということもあり、撮影領域の広がる、ズーム全域で寄れるレンズ(カメラ)が好みです。寄れるレンズだと周囲の状況を入れた写真が撮れます:
ということもあり、撮影領域の広がる、ズーム全域で寄れるレンズ(カメラ)が好みです。寄れるレンズだと周囲の状況を入れた写真が撮れます:
Sigma 18-50 1:3.5-5.6 DC の 28mm 相当 (18mm)
ところで、Caplio R7 と D70 を比較すると、暗い状況では撮影感度の点で D70 が圧倒的に有利です(Caplio R7 も同等の ISO 1600 で撮影出来るが、実質の画質が違う)。一方で 31mm 相当(約28mm)の画角でCaplio R7 のように被写体に寄れる一眼レフ(またはレンズ交換式カメラ)のレンズはありません(頑張って工夫すれば、ある程度は不可能ではないですが)。また、一眼レフ用の高倍率ズームレンズで、25cmまで寄れるものも発売されていません。ということで、コンパクトデジカメと一眼レフカメラ、寄れるレンズと高倍率ズームレンズを比較したとき、高い(重い)のを我慢すれば、すべてをカバーできるわけではないということがわかります。で、なかなか、荷物も減らず、いろいろほしくなってしまうと...
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